2005年01月25日

身土不二という思想「へっころ谷」@六会

昨日、近くでも有名な、かつ異色な存在でもある店を訪れました。
ほうとうが名物の「へっころ谷」(へっころだに)と云う名の店です。
いろいろサイトで取り上げられていますが、どれも内容に乏しく、雰囲気を伝えることに終始しているようで、詳しく味に言及するものがありません。
そんな理由により、以前から気になってはいました。

http://www.shonanblue.ne.jp/interview/006.html
環境問題などに関心の高い若い2代目の言葉です。
身土不二という考えは、わたくしの食に対する考え方にも色濃く影響を与えています。
体と土とは不可分である。
暮らす土地においてその季節に摂れる旬のものを食する事で、身体は環境に調和し健康になれる。
そんな思想です。
個人ができることは少ないのですが、私自分で調理する折には、なるべく旬の食材を使い、そしてチャイ産の野菜などは極力使わないように努めています。

「身土不二」これは立派な思想ですが、固定的なメニューを供する店では、持ち出す言葉ではないような気がします。
野菜には適した気候があり、そこで育まれた最適な種があるのです。
本場の新鮮な無農薬野菜のほうが、値段も味も優れたものになることでしょう。
それを供することは、消費者にとっても歓迎すべきことです。
たとえばかぼちゃ。
代表的な生産地は北海道、鹿児島県などだそうです。
私の食したほうとうにはかぼちゃが3切れほど入っていましたが、
どうも土の臭みがあり、苦さも感じられました。
関東ローム層に育ち、時に排気ガスにさらされたような、地場の野菜だけがいいものではないような気もします。

海では魚介、山においては山のもの。
流通機構の整っていなかった頃には身土不二という思想も尊ばれたものでしょうが、
ひとつの料理を作り出す上で、最適の食材を吟味しようと思えば、ひとつの土地だけにこだわる必要はないのです。
食材だけが、地場のものであればよい、それが体にとってもいいものだと闇雲に主張するのは土着信仰にも似た盲目的なものを感じます。
それは、迷信にも似たものです。
生活している場所の土で育てられた作物にはその土地で暮らす人間と同じ霊がある。「すべてのものに魂が宿る」的な考えです。

そんな姿勢はこの店のこだわりなのですから、ふらりと立ち寄った一介の味音痴野郎がとやかく言う筋合いではないのですが、その必死な姿が、必ずしもこのほうとう一杯の味に反映されていないところが「イタイ」ところです。

hekkoro.JPG

肉ほうとう940円です。
地場の野菜を使い、おそらく原価は高いのでしょう。
昼に食すにはかなり高価なものです。
多くの野菜じゃがいもにんじん、ごぼう、白菜、大根、かぼちゃなどが伺えます。
これだけの野菜の入った丼にもかかわらずダシ感に乏しいものが感じられます。

オレの自作の豚汁に讃岐うどんをぶち込んだもののほうが、おいしいんとちゃうか・・・
そういう思いが絶えず頭を支配していました。
この一杯・・・1000円近くを払っております。
そこで唸らせてくれないどころか、逆に思想的に妙に決まりの悪いものも植えつけられてしまいます。

この店のメニューを開くと見返しすべてを使い延々素材などに関する「うんちく」が述べられています。環境問題、オーガニック野菜、身土不二の思想など・・・。
訴えたいことは多いのでしょうが、弱い犬ほどよく吠えるものです。

主張せずとも料理が思想を語る。
そのレベルにまで達するのは、至難のことのようです。
おのずと店は文字、貼り紙の氾濫となります。

カウンター頭上その8メートルほどのスペースに延々と達者な筆書きにて、
何かが書かれております。
ほうとうの出来上がりを待っている間の無聊に任せて、左端のほうに少し目を走らせて見ましたが、「へっころ」「永六輔」などの文字を判読することができました。

カウンターがあり、その奥に厨房があり、またテーブル席もありますので、
店内は飲食店だとわかりますが、それがなければ田舎家の青年集会所みたいな感じです。
BGMはサティーの実験音楽を和管楽器でやっているようなものです。
田舎に想いが立ち返っていくということもなし、うまいものを気軽にいただくという和みもなし。私にとっては、落ち着ける食い物屋の空間ではありせん。
思想優先で、無理やり作り上げた異空間を薀蓄でもって蔽い、コンセプトのみが先にたっているような感じです。
またこの店の立地・・コンセプトを実現するにはちょっと厳しいものがあります。
国道467号線沿いです。駐車場を備えた多くの大規模飲食チェーン店が乱立する最中でもあります。
日大や慶応の近くに店を構え、うぶな学生を啓蒙していくほうがいいような気もします。

昼の定食750円というものもあるそうです。
半ほうとう
麦とろ飯
今日のメニュー(おかず
小付だそうです。
それなら値段との兼ね合いも考えまだ許容範囲かと思われます。
「へっころ谷」
藤沢市亀井野3−30-1
定休:火曜
11:30〜22:00(平日は15:00〜17:00に中休みあり)

お店関連Web
http://www.navida.ne.jp/snavi/1518_1.html

PS.一緒についてきた沢庵は絶品でした。
hekkoro2.JPG

これこそまさに田舎で味わったものです。
些細なところですが、数多の店舗で、このような漬物になかなか出会うこともできないのも事実です。
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